うつ病で社会的弱者の僕が名著『破戒』から生き方を考える

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僕は、サラリーマンとして10年間働いた結果、うつ病を発症し、現在は就労移行支援(リワーク)という障害者が社会復帰をするためにサポートが受けられる施設に通所をして社会復帰を目指しています。

ラクに生きる為に自分と向き合った記事もございます。興味のあるかたはコチラへ!!

 

今回はそんな僕が、島崎藤村の『破戒』を読了しましたので、作品紹介および、この本の題材である『社会的弱者』の痛みや『弱者の生き方』について考えてみたいと思います。

 

これらの問題は、うつ病などとは無縁の世界から、病気を患い障害者となった誰もが一度は必ず向き合わなければいけないものだと思います。

 

正解はひとつではありませんが、何か今後より良く生きるヒントとなれば嬉しいです。

それでは、よろしくお願いします。 

島崎藤村の『破戒』の概要

『破戒』(はかい)は、島崎藤村の長編小説。1905(明治38)年、小諸時代の最後に本作を起稿。翌年の1906年3月、緑陰叢書の第1編として自費出版

被差別部落出身の小学校教師がその出生に苦しみ、ついに告白するまでを描く。藤村が小説に転向した最初の作品で、日本自然主義文学の先陣を切った。夏目漱石は、『破戒』を「明治の小説としては後世に伝ふべき名篇也」(森田草平宛て書簡)と評価した。

 Wikipediaより引用

 

『社会的弱者』の痛み

作品の時代背景は封建的身分差別が根強く残る明治時代。
主人公の瀬川は、被差別部落出身の穢多(えた)・非人と呼ばれる身分。

 

穢多(えた)・非人とは、人であって人に非ず

 

人並みの幸せな生活を送る為には、出生地や素性は決して明かしてはいけないなと父に戒めを受けます。この思いは、子を想う父の愛情なのです。

 

一方、この戒めを守らなければ生きていくことが出来ないという瀬川の苦悩の描写が痛々しく胸を締め付けられます。

 

状況は違えど、うつ病となった自分の境遇と重なりました。

 

縁のない方は知らないことだと思いますが、精神障害者が社会の一員として生きていくためには、その素性を明かさずに生きていくクローズ就労と、素性を明らかにして生きていくオープン就労があります。

 

障害者にまつわる就労環境についての記事はコチラの記事もご参照下さい。

www.piyotama.site

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社会的な名目上の役割としての建前はありますが、キレイごとでは語れない事実として、素性を明かすことで健常者とは明確に線引きをされ、業務や仕事の幅が極めて限定されてしまうということがあります。
このことは、障害者にとっては悔しく、悲しいことで、当事者でなければ到底理解・想像が出来ないものだと思います。

 

作品内では、素性を明かさずに、付き合う親友から瀬川は以下ような内容のことを言われます。

 

君は、穢多(えた)ではないじゃないか。何故、そこまで肩入れをするんだい。教育者として穢多(えた)を差別しない考え方を大切にする気持ちは分かるが、深入りはしない方がいい。
君が心配だから言っているんだ。
これまでに彼らを何人もみてきたが、顔つきや表情がまるで違う。
彼らは所詮は下等な人種なんだ。

 

このように言われた瀬川の痛みが刺さります。

 

仮に障害者の方がクローズ就労(障害があることを開示しないで就労すること)で働いた時に、

 

君は、障害者などではない。このご時世で障害者を差別しない考え方を大切にする気持ちは分かるが、深入りはしない方がいい。
君が心配だから言っているんだ。
これまでに彼らを何人もみてきたが、顔つきや表情がまるで違う。彼らは所詮は弱い人種なんだ。

 

と同僚から言われたら、一体どれほど傷つくのでしょうか。

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『社会的弱者』の生き方

ネタバレしない程度にもう少々作品の紹介をさせていただきます。

 

主人公の瀬川と同じく、被差別部落出身の解放運動家の猪子の生き方に瀬川は感化されていきます。

 

しかし、たった一人で差別社会に立ち向かう姿勢に強く惹かれていくものの、猪子に対しても素性を打ち上げず、苦悩の中においても父から課せられた戒めを守り通します。

 

しかしながら、ある日瀬川の素性を疑う人物が現れ、生活が一変します。
そして、父と猪子が他界後に、自分の運命を呪い、差別を恐れ道に迷っていた瀬川はすべてを告白(破戒)し、勇ましく生きるを決意します。

 

さて、ここからは私の考察になります。

 

『破戒』を読んで、『社会的弱者』の生き方を考えた時にポイントとして3点を挙げたいと思います。

①父の想い

子の幸せを願い、何としても素性を隠し通すように命じる父の想いです。

 

社会で幸せに生きていく為に、素性を隠し通すことを命じる父の想いは、子供の幸せを願う強い愛情そのものだと思います。


障害者である僕の心境と重ねてみますと、やはり障害者であることを前面に出すことで生きにくくなってしまうことはあると思います。

 

私自身も、障害者になったことが理由で必要のない妙な苦労をさせたくないという理由から両親からSNS等での顔出しをやめた方がよいとのアドバイスを受けました。

 

自分のことを心配してくれる両親に感謝の気持ちは大きいのですが、本当の自分は知られてはいけない存在なのかと思うととても悲しい気持ちになりました。

②自分と同じ穢多である猪子に対する瀬川の生き方の葛藤

差別という社会悪に一人りで果敢に挑む猪子に強い感銘を受けながらも、父の想いを裏切れないという思いと、差別に対する強い畏怖から素性を明かすことの出来ない瀬川の葛藤に胸を打たれました。

 

少し状況は異なるかもしれませんが、僕自身も病気となった経験を前面に出して、まだ残る偏見や悩み苦しむ人たちの力になるような活動をして生きていくか?それとも、クローズ就労(障害を開示しない就労方法)をして、これまでと同様に病気のことはキレイさっぱり忘れて、昔の生活に戻り病気であったことは忘れることを目指して生きていくのか?

 

とても、考えさせられます。 

③近しかった友人などの偏見や差別に対する苦しみ

それまでにいくら親しく関係であっても、人間性よりも身分の偏見が根強く残ってしまうのが、社会というものです。

 

時代は違いますが、悲しいことですが現在も色濃く残っています。
ですが、これも仕方ないことだと思います。

 

例えば、障害者のお子さんが通っていたり、障害者の親御さんがいらっしゃる学校にあなたのお子様を安心して通わせることが出来ますか?

 

自分の子供をその子供と親しく付き合わせるのに抵抗があるという親御さんも少なからずいらっしゃるのは当然だと思います。

 

この差別という人間の根強い問題がもの凄く色濃いコントラストで描かれており、目が眩むほどの感銘を受けました。

 

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最後に

いかがでしたか?

 

今の時代にはとっても、センシティブなTopicを挙げたので、少しドキドキしております。

 

『破戒』自体も今日まで様々な論評があった作品です。

 

社会と自己の相克葛藤を描いた、自然主義文学の頂点と称賛される一方で、差別小説と批判もされています。

 

よく、書かれてる文言を言いわけの様に付け加えさせていただくのであれば、この記事は決して差別を助長することを意図するものではありません。

 

知らないで済めば幸せかもしれません。考えないで済めば幸せかもしれません。

 

ですが、うつ病となり、いわゆる社会的弱者という地位に身体を沈めた身としてはとても考えさせられることが多い作品でした。

 

興味があるかたは、是非ご覧になってみて下さいね。

 

なお、メンタルヘルス対策関連のおすすめ記事もご用意がございます。
ご興味ある方は、是非コチラも合わせてご覧くださいね!!

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そして、就労移行支援事業所(リワーク)では、臨床心理士さんやカウンセラーさんの指導のもとに様々なストレス対処法を身に付けることができるところも多くあります。

 

色々な種類の施設がありますが、見学だけでもOKですので、ご興味なるかたは是非以下のリンクでご自身にあったところ探されることをおススメします。

 

そのひとりの「働きたい」にこたえる。【LITALICOワークス】

お仕事復帰や自立を全力サポート | 就労移行支援のCocorport(旧社名:Melk)

障がいのある方への就労移行支援【パーソルチャレンジ・ミラトレ】

 

また、昨今は障害者向けの就職・転職支援サイトも非常に充実しています。
就職・転職のプロの支援を無料で受けられますし、ハローワークにはない求人案件もみつかると思いますよ。


心身状態に合わせて、既に就職活動のフェーズに入られている方は、是非コチラをご確認下さいね。

 

障害者の就職・転職なら【dodaチャレンジ】

プロと一緒にする転職活動!障害者の就・転職ならアットジーピー【atGP】

 

長くなりましたので、今回はこれにて。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。 

 

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